忍者ブログ

11

1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
□    [PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

□    22/ピアス


久々に見た完二の耳には、きらきら光るピアスが並んでいた。
昔は並んでいた身長もいつの間にかずいと抜かれていて、やたら体格が良くなったのも相まってだろうか。喋ると完二に間違いはないのに、まるで赤の他人を見ているかのように錯覚する。完二、と呼ぼうとして声が喉に詰まる。
長い時間はゆるやかに人を変えてゆく。ゆっくりと完二は俺の知らない完二になっていったし、きっと俺だって違わずそうなのだろう。特に変わったとも思わない手足も、五年遡れば小さくて弱々しいものだった。忘れてしまいそうになる。不変を心ならずに求めた結果、俺は自分の変化にすら気づかないなんて。

校内で時々見かける完二はいつでも一人だった。
それは高校に入ってからも変わらず、伸びた身長も、光るピアスも、やたらとがっしりしてしまった背中も赤の他人のようで、それでも俺はその赤の他人、完二を目で追ってしまうのだ。たまに聞こえる声すらいつの間にか低くなっていて、あの完二が、と笑う俺の声も低くなっていた。つまりは、時間の流れとは、そういうものなのだろう。
変化していく。きらきら光る。知らない、知っている幼馴染。
完二、と呼ぶ声が喉に引っかからなくなる日。
それも変化してく内に、するりと届く日。
少しだけ、早く来ないかと期待している。
きらきら光る、光る、光る。
その、ちらつくひかりを。





空想アリア様
PR
Name

Title

Mailadress

URL

Font Color
Normal   White
Comment

Password
  Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

忍者ブログ/[PR]

Template by coconuts
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
みくろの好き
P4<主足主/主花/主完/完直/他なんでも>アバチュ<風空/氷火/ロアジラ>
リンク
カテゴリー
アーカイブ
最古記事
(02/23)
LOG
(02/23)
忍者アナライズ