久々に見た完二の耳には、きらきら光るピアスが並んでいた。
昔は並んでいた身長もいつの間にかずいと抜かれていて、やたら体格が良くなったのも相まってだろうか。喋ると完二に間違いはないのに、まるで赤の他人を見ているかのように錯覚する。完二、と呼ぼうとして声が喉に詰まる。
長い時間はゆるやかに人を変えてゆく。ゆっくりと完二は俺の知らない完二になっていったし、きっと俺だって違わずそうなのだろう。特に変わったとも思わない手足も、五年遡れば小さくて弱々しいものだった。忘れてしまいそうになる。不変を心ならずに求めた結果、俺は自分の変化にすら気づかないなんて。
校内で時々見かける完二はいつでも一人だった。
それは高校に入ってからも変わらず、伸びた身長も、光るピアスも、やたらとがっしりしてしまった背中も赤の他人のようで、それでも俺はその赤の他人、完二を目で追ってしまうのだ。たまに聞こえる声すらいつの間にか低くなっていて、あの完二が、と笑う俺の声も低くなっていた。つまりは、時間の流れとは、そういうものなのだろう。
変化していく。きらきら光る。知らない、知っている幼馴染。
完二、と呼ぶ声が喉に引っかからなくなる日。
それも変化してく内に、するりと届く日。
少しだけ、早く来ないかと期待している。
きらきら光る、光る、光る。
その、ちらつくひかりを。
空想アリア様
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